どのようなゲームをするかによりますが、前提としてホームルーターのような電波を使用したモバイルインターネットは、基本的にオンラインゲームには不向きです。
電波を使用するため、光回線のような固定回線と比べると安定性の面で劣り、特に反応の速さを重視するFPSのようなゲームには、あまりおすすめできません。
とはいえ、工事不要で利用でき、光回線が引けない住宅環境では光回線の代替手段となります。
この記事で分かること
- オンラインゲームにおすすめのホームルーター
- 通信事業者選びのコツと確認ポイント
- 端末選びでプロが確認しているポイント
- 快適にオンラインゲームをプレイするための環境の整え方 など
オンラインゲームに使用するホームルーターはこう選ぶ!
結論:SA方式の5G回線に対応したプラン・端末を使う
SA(スタンド・アローン)方式の5G回線に対応したプラン・端末を使うという結論が最適な選択肢です。
SA方式の5Gは高速で遅延が少なく、モバイル回線の中では現在最もオンラインゲームに適した通信方法です。
ゲームにおすすめのホームルーターの具体例は、こちらでご紹介しています。
必ず5Gのエリア内であることを確認する
まずは5Gのエリア内である事を確認しましょう。
SA(スタンド・アローン)に対応したエリアはまだ狭いため、今後のエリア拡大を待つ必要があります。
SA方式の5Gは4G基地局との連携がないので低遅延
SA(スタンド・アローン)方式の5Gは、簡単に言うと、これまでの5Gよりも高性能な5G回線です。
これまでの5Gは、サービス展開を早めるため、世界的にノンスタンドアローン方式の5Gとしてスタートしています。
これまでの5Gは、高速である事は間違いないのですが、ノン・スタンドアローン(つまり5Gのネットワークとして独立していない)ため、遅延の面で大きな性能アップはありませんでした。
これは4Gの基地局の延長として5Gを構築しているためです。
ところが、ここ数年、徐々に通信事業者側で5Gのネットワークとして独立している、SA方式5Gの提供が始まりました。
これまでの5Gとは異なり、4G基地局との制御信号の連携がないため、遅延が大幅に改善する仕様になっています。
SA方式の5Gは、真の5Gと言われる通り、高速通信に加えて、低遅延・同時多接続が実現します。
詳しくは以下の記事で解説しています。
参考5GのSA・NSAとは?違いとネットワークスライシングを分かりやすく解説!
通信事業者や端末によって使える電波の周波数が異なる
現在使用されている電波事情を理解するだけで、端末や通信事業者選びの質がワンランク上がります。
この事に対して言及している専門家は、まだ多くないですが、移動体通信の分野では最も重要な部分になります。
電波の周波数と帯域について
- 使用できる周波数は通信事業者ごとに異なる
- 使用できる電波の帯域幅も周波数ごとに異なる
使用できる周波数は通信事業者ごとに異なる
UQ WiMAX・au、及びY!mobile・ソフトバンク間はグループ企業のため、グループ内で電波の相互利用をしています。
また、楽天モバイルでは一部auの電波を使用してエリア構築をしています。
通信会社が使用できる電波の周波数 | ||||||
700MHz | ●利用可 | ●利用可 | ●利用可 | ●利用可 | ー | ー |
800MHz | ●利用可 | ●利用可 | ー | ー | ー | ー |
900MHz | ー | ー | ●利用可 | ー | ー | ー |
1.5GHz | ●利用可 | ●利用可 | ●利用可 | ー | ー | ー |
1.7GHz | ●利用可 | ●利用可 | ●利用可 | ●利用可 | ー | ー |
2GHz | ●利用可 | ●利用可 | ●利用可 | ー | ー | ー |
2.3GHz | ●利用可 | ー | ー | ー | ー | ー |
2.5GHz | ー | ー | ー | ー | ●利用可 | ●利用可 |
3.4GHz | ー | ●利用可 | ●利用可 | ー | ー | ー |
3.5GHz | ●利用可 | ●利用可 | ●利用可 | ー | ー | ー |
3.7/4.5GHz | ●利用可 | ●利用可 | ●利用可 | ●利用可 | ー | ー |
28GHz | ●利用可 | ●利用可 | ●利用可 | ●利用可 | ー | ー |
使用できる電波の帯域幅も周波数ごとに異なる
帯域幅とはデータの通り道です。
この帯域幅(データの通り道の幅)広ければ、大容量のデータを同時に送れる量が増えるため、その分高速となります。
この帯域幅は、周波数によって異なり通信速度に直結する重要な部分なので、端末や通信事業者選びで必ず意識したい部分です。
例えば、同じ5Gの周波数でも、28GHz(ミリ波)では400MHzなのに対して、3.7GHz(サブシックス)では1/4の100MHzとなります。
端末の性能についてはここを確認(プロはここを見ている)
端末の確認ポイント
- 端末が使用できる周波数(回線事業者の保有免許と突合する)
- SA方式の5Gに対応しているか
- 機種の最大通信速度(理論値)
- 内部アンテナの本数(ストリーム)
- Wi-Fiの詳細スペック
端末が使用できる周波数(回線事業者の保有免許と突合する)
端末は回線提供事業者とは異なる外部メーカーが製造をしています。
海外メーカーの物も多く、日本の市場向けに設計されているとはいえ、端末が使用できるバンド(周波数)が、通信事業者が保有している免許の周波数と全て一致していない物も割と多くあります。
その機種が使える周波数は、取り扱い説明書などに記載されている事が多いです。
SAの5Gに対応している事が望ましい
前述の通り、SA方式の5Gは高速で低遅延な通信が利用できます。
SA方式の5Gは対応エリアがまだ一部ですが、通信事業者側は今後ネットワークの切り替え作業を行い、最終的にほとんどのエリアでSA方式の5Gに変更されます。
その際にSA非対応の端末を使用していると低遅延の恩恵を受ける事ができません。
なるべくSA対応の端末やプランを使用する事が望ましいです。
最大通信速度(理論値)を確認する
メーカーなどが公表している端末の最大通信速度は、基地局とホームルーター間の最大通信速度(理論値)が表示されているケースがほとんどです。
この最大通信速度は、最適な条件下で理論値上出るであろうとされている机上の計算値です。
つまり、この値からユーザー各人の環境や、ネットワーク混雑状況などの条件を加味すると、実際の通信速度は理論値と乖離した値になります。
最大通信速度は速いに越したことはないので、端末の最大通信速度をホームページなどで確認するようにし、なるべく高い数値の物を選ぶようにしてください。
内部アンテナの本数(ストリーム)
Wi-Fiルーターのスペック情報に「ストリーム数」という項目が記載されていることがあります。
このストリーム数は、Wi-Fi機器に搭載されているアンテナの本数を示しています。
「4×4」や「8×8」といった表記がされている場合、それぞれ送信アンテナと受信アンテナの数を示しています。
例えば、4×4であれば、送信4本、受信4本、合計8本のアンテナを有している事になります。
ストリーム数は、Wi-Fiの通信速度や安定性に直接影響を与える要因の一つです。
ストリーム数が多いほど、通信速度は高速になります。
特に、多くのデバイスが同時に接続される環境や、大容量のデータ転送が必要な場合、ストリーム数が多いルーターを選ぶ事が重要です。
Wi-Fiの詳細スペックについて
Wi-Fiのスペックは、以下のポイントを確認するようにしています。
機種によっては公開されていない物もありますが、公表されている最大通信速度などから推測する場合もあります。
Wi-Fiの規格
Wi-Fiの規格は、通信の安定性や速度を向上させるための国際的な標準として定められています。
現在、家庭用に普及しているWi-Fiルーターで利用できる主な通信規格には、Wi-Fi6、Wi-Fi5、Wi-Fi4などがあります。
これらの規格は、それぞれ異なる周波数帯域や最大通信速度を持っており、新しい規格になるほど高性能で通信速度は高速になります。
ルーター側と、接続するPCやスマホなどデバイス側の両方が使用する通信規格に対応している必要があります。
Wi-Fi通信規格 | 最大通信速度 |
IEEE802.11ax (WiFi6E) | 9.6Gbps |
IEEE802.11ax (WiFi6) | 9.6Gbps |
IEEE802.11ac (WiFi5) | 6.9Gbps |
IEEE802.11n (WiFi4) | 600Mbps |
IEEE802.11a | 54Mbps |
IEEE802.11g | 54Mbps |
IEEE802.11b | 11Mbps |
チャンネル幅
Wi-Fiの通信では、20MHz、40MHz、80MHz、160MHzなどのチャンネル幅が利用され、このチャンネル幅は通信の品質や速度に直接影響を与えます。
Wi-Fi5から160MHz幅の広いレンジで使用できるため、なるべく新しい規格で接続した方が通信速度は速くなります。
Wi-Fiの規格に注目していれば、問題ありませんが一応認識しておくと良いです。
Wi-Fi通信規格 | チャンネル幅 |
IEEE802.11ax (WiFi6E) | 40/80/160MHz |
IEEE802.11ax (WiFi6) | 40/80/160MHz |
IEEE802.11ac (WiFi5) | 80/160MHz |
IEEE802.11n (WiFi4) | 20/40MHz |
IEEE802.11a | 20MHz |
IEEE802.11g | 20MHz |
IEEE802.11b | 22MHz |
OFDMA対応
OFDMAはWi-Fi6の特長的な技術で、1つのアクセスポイントに複数の端末が同時接続したときでも安定した通信が可能となる技術です。
Wi-Fi5の変調方式あるOFDMでは、前パケットの送信完了を待つ必要があり、タイムラグが生じる事がありました。
一方、Wi-Fi6で利用できるOFDMAでは、ルーターからの一回の送信で複数のデバイスと通信することができるため、各デバイスが順番を待つ必要が無くなります。
Wi-Fi6に対応してても、OFDMAに非対応のケースがありますので確認するようにしてください。
同時接続数はオンラインゲーム用途ではあまり気にしなくて良い
オンラインゲームに使用する場合、基本的に接続数をなるべく少なくする事がポイントになります(詳しくは後述します)
例えば、128台などのかなり多くのデバイスが接続できる機種もありますが、そのような多数のデバイスを接続することは現実的ではありません。
よって、同時接続台数は端末選択時のポイントとしてはあまり気にしなくて良いでしょう。
推奨する同時接続機器の台数は10台以下、可能であれば1台が理想です。
少しでも良い環境でゲームをプレイするための置き場所や使い方のコツ
ここを確認
- 屋外からの電波を受信しやすい場所を探す
- 同時接続機器数はなるべく少なくする
- Wi-Fi接続を利用する場合は必ず5GHzを使用する
- できれば有線LANケーブルを使用する
屋外からの電波を受信しやすい場所を探す
Wi-Fiルーターの置き場所は、家の中での通信速度や接続の安定性に大きく影響します。
屋外の基地局からの電波を十分に受信するために、見通しの良い窓際などにルーターを置くと良いでしょう。
また、Wi-Fiの電波は、壁や家具などの障害物によって遮られやすいです。
ルーターとPCやゲーム機の間に障害物がある場合、位置を変えるか家具などの障害物を移動させる等の対策を検討してください。
同時接続機器数はなるべく少なくする
ホームルーターは限られた帯域を、接続しているデバイス(PCやスマホなど)で分け合いながら使用しています。
接続台数が多くなればなるほど、帯域を圧迫し使用できる帯域はその分少なくなります。
使用できる帯域が少なくなると、通信速度はその分低下します。
快適に使用するためには、ホームルーターに接続するデバイスの数は極力減らす事が大切です。
Wi-Fi接続を利用する場合は必ず5GHzを使用する
現在、ホームルーター本体とスマホ、PCなどのデバイスを接続するためのWi-Fi電波は、2.4GHzと5GHzの2つの周波数帯域を選択する事ができます。(機種によっては6GHzも利用できる場合があります)
この周波数は、どちらの帯域を利用するかを選択できるようになっている事があります。
どちらか選択できる場合は、5GHzを選択することにより、家電などとの電波干渉を回避しつつ、快適に利用することができます。
Wi-Fi通信規格 | 利用可能周波数 |
IEEE802.11ax (WiFi6E) | 2.4 / 5GHz / 6GHz |
IEEE802.11ax (WiFi6) | 2.4 / 5GHz |
IEEE802.11ac (WiFi5) | 5GHz |
IEEE802.11n (WiFi4) | 2.4 / 5GHz |
IEEE802.11a | 5GHz |
IEEE802.11g | 2.4GHz |
IEEE802.11b | 2.4GHz |
できれば有線LANケーブルを使用する
ホームルーターとPCなどは、Wi-Fiで接続するよりも、LANケーブルで有線続することによって通信の安定性が向上します。
通信の安定性が向上すると、その分パケットロスなどが起きにくくなり、PING値を低く保つ事ができます。
(パケットロスが発生すると、失われたパケットは再送信されるため、その分遅延が発生します。)
下記はLANケーブル接続時と、Wi-Fi接続時のPING値比較です。
有線接続時が33ms、Wi-Fi利用時が46msと、有線接続時の方がPING値(遅延)が低くなっているのが確認できます。
参考ホームルーター(置くだけWi-Fi)を有線接続して使う場合の注意点と確認ポイント
オンラインゲームにおすすめのホームルーター
オンラインゲームにおすすめ
- WiMAX+5G(SAプラン)
- ソフトバンクAir (エアターミナル5)
- ドコモhome 5G
WiMAX+5G SAプラン
「WiMAX+5G SAプラン」の最大の特徴は、5G SA(スタンドアローン)対応の5G通信が可能であることです。
WiMAX2+(NR含む)と、au 4G・5Gのネットワークを使用するため、利用できるエリアが広く通信速度が安定しているため人気のブランドです。
現在、WiMAXホームルーターでは、Speed Wi-Fi HOME 5G L13のみがSA方式の5Gに対応した機種です。
\ 平日13時までの申込みで即日発送 /
WiMAXプロバイダーで取扱中の端末 | |
Speed Wi-Fi HOME 5G L13 | |
端末外観 | |
製造元 | ZTE Corporation |
対応通信規格(WAN) | WiMAX2+/4G/5G |
最大通信速度 | 下り最大:4.2Gbps 上り最大:286Mbps |
最大同時接続台数 | 有線LAN:2台 無線LAN:32台 |
対応Wi-Fi通信規格 | IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax (2.4GHz/5GHz) |
ソフトバンクAir (エアターミナル5)
ソフトバンクAirの最新機種「エアターミナル5」は、SA方式の5Gに対応し、下り最大2.1Gbpsの通信速度を実現しています。
ホームルーターとしては日本で初めてSA方式の5Gに対応し、前モデルの「エアターミナル4」よりも、かなり高速な通信が可能となっています。
Wi-Fi区間は、IEEE802.11ax(4×4 MIMO)に対応していています。
\ソフトバンクスマホ利用者は割引有り!/
月額料金 | 3,278円〜5,368円(税込) |
セット割引 | ソフトバンク:スマホセットで1台1,100円/月 割引 (離れて暮らす家族分もOK) Y!mobile:スマホとセットで最大1,188円/月 割引 |
速度制限 | 利用者が集中する時間帯で、高負荷となったエリアでは一時的に制限が掛かる場合有り |
端末購入 | レンタル・一括または分割購入 (5G対応端末は購入のみ) |
契約期間 | なし |
運営会社 | ソフトバンク株式会社 |
ソフトバンクAirで取扱中の端末 | |
Airターミナル5 | |
端末外観 | |
製造元 | OPPO |
対応通信規格(WAN) | 5G・4G・AXGP |
最大通信速度 | 下り:2.1Gbps 上り:未発表 |
最大同時接続台数 | 128台 |
対応Wi-Fi通信規格 | IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax (2.4GHz/5GHz) |
・SoftBank Airでご利用いただける5G対象エリアは限られます。事前に対象エリアをご確認の上、ご契約ください。
・下り最大2.1GbpsにはWi-Fi6(11ax)対応機種が必要です。
・ベストエフォート方式のため、お客さまの通信環境により実際の通信速度は変化します。ご利用の集中する時間帯(夜間など)は、サービス安定提供にともなう速度制限のため、通信速度が低下する場合があります。
※詳細はソフトバンクの公式サイトでご確認ください。
ソフトバンクエアーより月額料金が安い「モバレコエアー」とは?違いやメリット・デメリットを分析してみた
続きを見る
ドコモhome 5G
ドコモ home 5Gは、NTTドコモの4G・5G回線を使用したホームルーターです。
ドコモは日本で最も多くの基地局を持ち、利用できる周波数の免許も多く保有しているため、サービス提供エリアが広い事が特徴です。
申し込みは、GMOとくとくBBなどのキャッシュバック額が多い代理店経由でのお申し込みがおすすめです。
\最大4.2Gbpsの高速5G対応!/
月額料金 | 4,950円(税込) |
セット割引 | ドコモユーザー:1,100円/月 割引 (離れて暮らす家族分も最大20台まで対応) |
速度制限 | 直近3日のデータ消費量が多いユーザーは、他のユーザーと比較して低速となる場合有り |
端末購入 | 一括または分割購入 |
契約期間 | 縛りなし |
運営会社 | 株式会社NTTドコモ |
ドコモ home 5Gで取扱中の端末 | |
home 5G HR02 | |
端末外観 | |
製造元 | SHARP |
対応通信規格(WAN) | 5G・4G |
最大通信速度 | 下り:4.2Gbps 上り:218Mbps |
最大同時接続台数 | 有線LAN:2台 無線LAN:64台 |
対応Wi-Fi通信規格 | IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax (2.4GHz/5GHz) |
(まとめ)SA方式の5G回線に対応した回線事業者・端末を使う
まとめ
- オンラインゲームにはSA方式の5Gに対応したホームルーターがおすすめ
- 通信速度やレイテンシー(遅延)を考慮し、適切な端末を選ぶことが重要
- 端末の置き場所やWi-Fi周波数の選択、環境の整え方もゲームの快適性に影響する
- レイテンシー(遅延)をなるべく少なくするためには、有線接続で安定した通信を行うと良い