ついに日本でもサービス開始された次世代の通信規格5G(ファイブ・ジー)ですが、5Gの登場で社会が大きく変わると言われています。
私たちの生活や、モバイルWiFiの未来はどう変化するのでしょうか?
5Gとはどんな通信?特徴は大きく3つ
5G(ファイブ・ジー)の大きな特徴として、以下の3本柱があります。
5Gの大きな特徴
- 超高速
- 超低遅延
- 多数同時接続
2020年代にはPCやスマホなど以外にも、私たちの身の回りのモノが、ネットワークに接続されるIoT(Internet of Tinings アイ・オー・ティー)社会に突入していきます。
5GはIoT社会の基盤を担う大変重要な生活インフラとして、さまざまな技術と連携することにより、生活に大きな変化をもたらすと予想されています。
5G対応の端末(スマホやモバイルWiFiルーター)で通信をする事になりますので、現在の4G対応のスマホで5G通信をする事はできません。
4Gとは何がどう違うの?
通信規格 | 4G | 5G |
通信速度 | 50Mbps〜1Gbps | 10〜20Gbps |
同時接続数(km2) | 10万デバイス | 100万デバイス |
遅延時間 | 10ms | 1ms |
4Gとの比較
- 通信速度は4Gの20倍!
- 同時接続デバイスは4Gの10倍!
- 4Gの1/10の遅延時間!
5Gではどんな事が実現可能?
モバイルネットワークが5Gに変化する事によって、新しい技術や新たなサービスがどんどん生まれてくるようになります。
3Gから4Gにイノベーションを遂げた際に、YouTubeなどの動画プラットフォームや、SNSが爆発的に普及したように、5Gになって急速に普及してくる分野があります。
低遅延な通信が可能
5Gになり遅延が少なくなる事によって、自動運転やVR(バーチャル・リアリティ)を使ったスポーツ観戦などが、急速に発展してくると言われています。
現在の4G通信を使用していて、あまり実感が無いかもしれませんが、通信の世界ではどうしても「遅延」が発生してしまいます。
具体的な例では、テレビの生放送などで海外と衛星中継を結ぶと、やり取りに少々の時間差が発生しているのを見た事があるかもしれません。
また、YouTubeのライブ配信などを利用した事がある方は分かると思いますが、やはりリアルタイムではない「モタつき」を感じると思います。
簡単に言うとこれが「遅延」の正体です。
5Gでは1msという遅延がほとんど無いに等しい状況のため、操作から実行までのスピードが格段に早くなります。
4Gの10msという遅延では実用化できる状況ではなかった、自動運転技術などに生かされる事になります。
同時接続数が飛躍的に増える
同時接続数が増えると、今までインターネットに繋がるモノではなかったようなデバイスが多数接続できるようになります。
5GがIoT(アイオーティー)社会の基盤になると言われているのはこのためです。
今までは、PCやタブレット・スマホなどがネットに接続される主なデバイスでしたが、冷蔵庫や、エアコン、ウェアラブル・デバイスなど、様々な家電やモノが同時多接続でネットに接続可能となります。
スマートスピーカーなど、現在でもIoTデバイスはありますが、これらの普及が加速していく事になります。
家の中だけではなく、物流や、街の中のセンサー、実店舗での買い物などにも活用される事になります。
通信速度は4Gの20倍以上
4Gでは外出先でもスマホで動画を見られるようになりましたが、5Gでは映画が数秒でダウンロード可能になり高画質になります。
具体的には2時間の映画が、2秒でダウンロード可能になると言われています。
現在モバイル環境で動画を見るのは、ギガ制限に引っかかたり、ダウンロードが遅かったりして、どうしても外で動画を見る事を躊躇してしまう事がありますが、5Gではこの事象が解消されます。
通信速度が20倍〜100倍になると、動画なども軽い容量になりますので、現在の写真感覚でSNS上で動画がシェアされるようになったり、VR(バーチャル・リアリティ)や、AR(オーグメンテッド・リアリティ)などの分野が急速に発展してくるようになります。
今さら聞けない、紛らわしい3つのG(ジー)
通信の世界では、紛らわしい3つのG(ジー)があります。
同じGでも意味が全く異なるので、ちゃんと理解できているか答え合わせをしてみてくださいね。
①通信の世代を表すジェネレーション(Genaration)
「3G」や「4G LTE」などの通信規格を表すGは、Genarationの頭文字を取ったG(ジー)です。
使用例:5Gとは第5世代の通信規格です。
②容量を表すギガバイト(GB)
データ量を表す単位がGB(ギガバイト)です。スマホのデータ通信料制限○GBという言葉は皆さんにも馴染みがあると思います。
使用例:データ容量の上限は5GBまでです。
③周波数を表すギガヘルツ(GHz)
スマホやモバイルWiFiのモバイル端末や、無線LANは電波を利用して通信をしますが、使用する電波の周波数帯域をGHz(ギガヘルツ)で表します。
使用例:WiFiは2.4GHzと5GHzの帯域を使えます。
ただ単純に「ギガ」と言われてしまうと、ギガバイトの事?ギガヘルツの事?ってなってしまいますよね。
モバイルWi-Fiの5G対応への動き
WiMAXを提供するUQコミュニケーションズと、Y!mobileのWireless City Planning(ソフトバンク)は、4G LTEの既存周波数帯を5G利用するための技術的検討を以前より進めていました。
2022年12月から、WiMAXの一部の基地局で既存電波を5G化したWiMAX R3.0(n41)の運用が開始されています。
5Gが完全に使えるようになるには、基地局設備やネットワーク構成の変更、ユーザー側の5G対応WiFiルーターを販売したり大きな道のりがあります。
サービスが開始されたとしても、5Gのエリアが完全に拡大されるまでには、それなりの年月を要する事になります。
- 5G基地局やネットワークの構築
- 5G対応のモバイルWiFiルーターの販売
特に通信事業者は、既存基地局の設備を4G用から5G用に変更したり、基地局と最寄りのデータセンターを結ぶ、バックホール回線の容量を現行の1Gから10Gに増強したり、多くの作業と設備投資をする事になります。
東名阪の主要都市から順次サービス提供を開始し、全国的にサービスエリアが拡大していく事になります。
UQコミュニケーションズが構想している、5Gのシステム構成イメージは以下の通りで、5Gのエリア構築が完全に完成するまでは、4Gと5Gの双方を運用して行く事になります。
R2.1がWiMAX2+、R3.0が5G対応のWiMAX3(仮称)です。
5G対応のWiMAX3を徹底解説!サービス開始時期や通信速度はどうなる?
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発表されている5G対応のWiFiルーター
通信キャリアやメーカー各社から、5G対応のWiFiルーターが発表されています。
まずは先行で5Gがスタートした海外端末の状況ですが、格安スマホ端末などで有名な、HTC社からは5G対応モバイルWiFi(スマート・ハブ)が発表されています。
スマート・ハブというだけあって、OSにはAndroid 9 Pieを搭載した高機能デバイスとなっています。
また、モバイルWiFiや、ホームルーター端末で大きなシェアを占めている、Huawei社からは、ホームタイプの5G WiFiルーターが発表されています。
ルーターとPCなどの接続機器間の通信規格も、最新のWiFi6(最大9.6Gbps)が利用可能になっています。
ちなみにWiFi5が最大6.9GbpsなのでLAN側の通信速度も向上しています。
HTC 5G Hub
Huawei 5G CPE Pro
日本国内の5G対応端末
docomoとKDDIから発表されている5G対応の(シャープ製)のモバイルWiFiです。
KDDIが2020年3月から、docomoが2020年6月から5G対応端末の販売をスタートしました。
スペックは、下り最大4.1Gbps、上り最大480〜481Mbpsで、最新のWiFi通信規格WiFi6(IEEE802.11ax)に対応。
2.5GBASE-Tの有線LANポートやUSB3.0を搭載しているため、無線通信だけではなく有線接続にも対応しています。
5G対応のWiMAXルーター
標準の通信モードで au 5Gに対応したWiMAXルーターも登場しています。
Speed Wi-Fi 5G X11 | Speed Wi-Fi HOME 5G L12 | |
端末外観 | ||
製造元 | NECプラットフォームズ | NECプラットフォームズ |
対応通信規格(WAN) | WiMAX2+/4G/5G | WiMAX2+/4G/5G |
最大通信速度 | 下り最大:2.7Gbps 上り最大:183Mbps | 下り最大:2.7Gbps 上り最大:183Mbps |
連続待受時間 | 約400時間(初期設定時) | ー |
最大同時接続台数 | Wi−Fi:16台 / USB:1台 | 5GHz:20台 2.4GHz:20台 |
対応Wi-Fi通信規格 | IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax (2.4GHz/5GHz) | IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax (2.4GHz/5GHz) |
バッテリー容量 | 4,000mAh | ー |
WiMAX3はいつ発表されるのか?
5G対応のWiMAX3は、2022年12月から一部エリアで提供が開始されています。
WiMAXの規格策定には、3GPP、WiMAX Forum、ARIBという3つの機関が関わっていますが、これまでに、既存の4G用電波を5G用に流用するWiMAX R3.0(つまりWiMAX3)の準備が進められてきました。
総務省のホームページで公開されているUQコミュニケーションズの技術資料を見てみると、2018年度から準備始まり、2020年度の第1四半期頃(4月〜6月)に、全ての標準化規格の策定が完了しています。
また、WiMAXプロバイダー各社では、先行でサービスインしているau 5Gを利用できる新プラン「WiMAX+5G」の提供を開始しています。
WiMAX3(n41)単体としてのエリア拡大にはもう少し時間がかかりそうですが、WiMAX+5Gでは、auの5G回線を利用する事ができます。
参考WiMAX+5Gプランを分かりやすく解説!4Gプランとの比較や注意点もチェック
まとめ:5Gの登場で変わるモバイルWiFiの未来
3Gから4Gに変化した時代を覚えている人も多いかと思いますが、5Gへのイノベーションはそれを越える大きなインパクトを与えます。
再度、5Gの要点をまとめると以下の通りです。
5Gの通信は4G LTEと比べると、とにかく早い!
- 通信速度は4Gの20倍!(実質的な通信速度は100倍にも)
- 接続デバイスは4Gの10倍!
- 4Gの1/10の遅延時間!
通信品質が向上する事によって、今まで出来なかったような事が実現可能になる!
- 低遅延や高速通信を生かした、自動運転、やVR・ARなどの分野が発展してくる
- 同時多接続で、家の中や街中の様々なモノや家電がネット接続される(IoT社会)
- 高速通信で、2時間の映画が2秒でダウンロード可能