飛行機搭乗前の待ち時間に便利なモバイルWiFiですが、飛行機内への持ち込みや、機内での使用はできるのでしょうか?
結論から言うと、モバイルWiFiは機内に持ち込む事はできますが、使用する事はできません。
機内へのモバイルWiFiの持ち込みルールや、機内でインターネットに接続するための唯一認められた方法について解説しています。
モバイルWiFiは飛行機に持ち込めるのか?
現行販売されているモバイルWiFiは基本的に飛行機に持ち込めると考えて良いです。
ただし、リチウム電池・リチウムイオン電池が搭載された電子機器は機内持ち込みと、預け入れに関して制限があります。
内蔵された電池が以下の容量を超えない場合、機内持ち込み・お預けともに可能です。
- リチウム電池 2g以下
- リチウムイオン電池 160Wh以下
ANAホームページ【国内・国際線】リチウム電池(リチウムイオン電池)が内蔵・装着された一般電子機器の取り扱いについて より
モバイルWiFiルーターもリチウムイオン電池を搭載していますが、制限に抵触するような容量ではありませんので心配はいらないでしょう。
ワット時定格量(Wh)は以下の計算式で求めます。
Wh = 定格定量(Ah)× 定格電圧(V)
リチウムイオン電池の定格電圧(V)は決まっていて、約3.7Vとして計算します。
(ごく稀に3.85Vとバッテリーパックに記載されている物もあります)
機種の定格定量(Ah)はバッテリー容量の事を指します。
一般的なモバイルWiFiのバッテリー容量は2000mAh〜3000mAh程度です。
メーカーのホームページなどで確認する事ができますが、メーカーの仕様書にはmAhの単位で記載してある事がほとんどなので、1000分の1の単位のAhに変換します。
UQ Speed Wi-Fi NEXT W06の場合
- 定格定量(バッテリー容量)3000(mAh)= 3(Ah)
- 定格電圧 = 3.7(V)
- 3(Ah)× 3.7(V)=11.1(Wh)となります。
モバイルバッテリーは預け荷物にできません
モバイルWiFiと同時に持ち運ぶ事の多い、モバイルバッテリーは預け入れする事はできません。
国内線・国際線とも機内持ち込みのみ可能です。
モバイルバッテリーもリチウムイオン電池を使用していますが、予備電池(つまり単体のリチウムイオン電池)は、国土交通省が定める危険物に指定されています。
リチウムイオン電池は衝撃、高温、圧力などにより、発熱・発火・爆発が起きる可能性があります。
リチウムイオン電池を搭載した製品の中でも、特に容量の大きなモバイルバッテリーには厳しい制限が設けられています。
モバイルバッテリーが機内持ち込みのみ許可されている理由は、何か問題が発生した際に直ちに発見できるようにするためです。
誰も居ない貨物室内で人知れず発火し、発見が遅れるのを防ぐ目的があります。
モバイルWiFiは機内で使用する事はできる?
運航中はモバイルWiFiを使用する事はできません。
航空法で「航空機の運航の安全に支障を及ぼすおそれのある電子機器」として指定されているため使用が禁止されています。
具体的には、離陸時に飛行機のドアが閉まってから、着陸後の滑走終了後まで、電源は切らなくてはいけません。
タイミングについては客室乗務員からアナウンスがありますので、必ず案内に従うようにしてください。
もし機長の禁止命令に従わない場合には、50万円以下の罰金となりますのでご注意ください。
また、預け荷物にする場合にも客席と同じ扱いで、電源が入った状態で預けることはできませんので、必ず電源を切るようにしましょう。(スリープモードも不可です)
本体は偶発的に電源が入ってしまったり損傷を防ぐため、厚めの衣類などで覆い、スーツケースに納めてください。
機内でのネット接続は、航空会社提供のWiFiサービスのみ利用可能
飛行機内でインターネットに接続したい場合は、航空会社が提供しているWiFi接続サービスを利用するしか方法がありません。
ただし、全ての航空会社・路線・機材でWiFi接続に対応しているわけではなく、事前に搭乗の便がWiFi接続可能か確認をしておきましょう。
搭乗の便がWiFiサービスに対応しているかは、航空会社ホームページの予約画面などで確認することができます。
国内線は無料の場合が多いですが、国際線の場合はファーストクラスなどを除くと有料の場合がほとんどです。
また、機内でのWiFi接続は料金が高く、データ通信量の多いアプリなどは利用制限されている場合があったり等、デメリットもあります。
機内でWiFiサービスに接続する方法
①「機内モード」がONになっている事を確認
②「Wi-Fi」をONにします
機内モードの状態からでもWi-FiをONにできます
③ネットワークから航空会社の「SSID」を選びます
航空会社のSSIDは座席の機内誌に掲載されていたり、CAさんに確認すれば教えてくれます。
JAL国内線のSSIDは「gogoinflight」
ANA国内線のSSIDは「ANA-WiFi-Service」
④ブラウザを開き、航空会社のポータルサイトが表示されたら、インターネット接続の手続きをしてください
(ANA WiFi Service ポータルサイトの例)
利用にはメールアドレスの登録が必要な場合があります。
有料の場合はここで利用する時間や通信容量、クレジットカードや、PayPalアカウント等の決済方法を選択し利用登録を行います。
PCやスマホなど自動更新機能をONにしている場合はOFFにするようにしましょう。
自動更新が走り、通信量が大幅に増えてしまう場合があります。
国際線WiFi接続サービス概要
全日空(ANA) | 30分プラン:$4.95 (15MB上限) 1時間プラン :$8.95(30MB上限) フルフライトプラン:$19.95(100MB上限) ファーストクラスは無料 |
日本航空(JAL) | 1時間プラン:US$10.15 3時間プラン:US$ 14.40 フライトプラン:US$ 18.80 ファーストクラスは無料 |
シンガポール航空 | 有料(フライト区間によって異なる) 使用量もしくは時間制 スイート・ファーストクラスは100MBまで、ビジネスクラスは30MBまで無料 |
カタール航空 | 有料 |
エバー航空 | 30MBプラン:US$4.95 100MBプラン:US$14.95 300MBプラン:US$29.95 |
エミレーツ航空 | 最大20MB(2時間制)まで無料 以降は有料(フライト区間によって異なる) エレミーツ・スカイワーズ会員は優遇有り |
アメリカン航空 | 有料 |
デルタ航空 | 24時間無制限:US$28.00 |
ユナイテッド航空 | 有料 |
エールフランス | 有料 |
ルフトハンザドイツ空港 | 有料 |
航空会社提供の有料WiFiサービスが高額な理由
機内のWiFi接続サービスは料金がそこそこ高く「なぜこんなに高いのか?」と疑問に思っている人もいるかもしれませんが、これには理由があります。
飛行機に付いているアンテナから、宇宙を漂っている人工衛星を経由して、地上のパラボラアンテナに伝送されます。
このように衛星を利用した特殊な通信経路を使用する場合、航空会社が通信事業者に対して支払う料金がどうしても高額になります。
また、気になる通信速度ですが、衛星を利用して通信をするため、基本的に速度はそこまで出ないと考えて良いでしょう。
普段使用しているスマホの通信のように早い通信に慣れてしまっていると、かなり遅く感じるかもしれません。
空の上でネットに接続できるって、本当は凄い事なんですよね。
搭乗前の待ち時間はモバイルWiFiでネット接続が便利
モバイルWiFiは出発前の待ち時間にネットサーフィンをしたり、搭乗前に必要なファイルのダウンロードを済ませておき、ストレージに保存したファイルを機内で楽しむのにとても便利です。
出張の多いビジネスマンであれば、搭乗前の待ち時間も有効にネットを活用したいですよね。
羽田空港ターミナルでWiMAXの速度を測定してみましたので、結果をシェアしたいと思います。
快適なネット接続には、下り1〜3Mbps程度の速度が必要ですが、その点を踏まえて結果をご確認ください。
また、計測タイミングや測定位置により必ずしもこの結果になるとは限りません。
測定メモ
回線:ブロードワイマックス
測定日:2019年6月14日(金)
計測時間:19:00〜20:09
天候:やや曇り
機種:Speed W-Fi NEXT W05
測定アプリ:SPEEDTEST(iPhone7)
羽田空港・国際線ターミナル
測定場所 | 下り (Mbps) | 上り (Mbps) | Ping (ms) |
展望デッキ | 11.3 | 7.16 | 48 |
4Fレストランフロア | 7.22 | 7.91 | 54 |
3F出発ロービー | 5.36 | 8.21 | 60 |
2F到着ロビー | 10.9 | 14.4 | 64 |
羽田空港・国内線第1ターミナル
測定場所 | 下り (Mbps) | 上り (Mbps) | Ping (ms) |
太陽の塔付近 | 21.2 | 14.5 | 53 |
月の塔付近 | 37.4 | 27.6 | 52 |
到着出口付近 (南ウイング) | 6.92 | 1.11 | 65 |
到着出口付近 (北ウイング) | 23.0 | 18.0 | 56 |
出発ロビー (南ウイング) | 7.33 | 0.48 | 58 |
出発ロビー (北ウイング) | 2.76 | 12.9 | 55 |
展望デッキ | 6.97 | 6.22 | 43 |
羽田空港・国内線第2ターミナル
測定場所 | 下り (Mbps) | 上り (Mbps) | Ping (ms) |
1F到着ロビー (1・2・3側) | 7.07 | 3.86 | 49 |
1F到着ロビー (4・5・6側) | 8.09 | 4.98 | 44 |
2F出発ロービー (C・D側) | 9.35 | 5.54 | 48 |
2F出発ロービー (A・B側) | 7.20 | 1.97 | 46 |
まとめ
繰り返しになりますが、最後にこの記事の重要なポイントをまとめると以下になります。
まとめ
- 機内へのモバイルWiFiルーターの持ち込みは可能ですが、運航中は電源をオンにしてはいけません。
- 必ず機長・客室乗務員の指示に従い電源を切るようにし、預け荷物にする場合も必ず電源を切りましょう。
- 上空では、モバイルWiFiの電源を入れる事ができないため利用する事はできません。
- 飛行機の中でインターネットに接続したい場合は、航空会社が提供しているWiFi接続サービスを利用するしか方法がありません。
- 国内線は無料WiFi接続サービスが増えてきましたが、国際線は高額な場合があるので注意が必要です!
- 搭乗前に必要なファイルはダウンロードしておいて、機内で楽しむのがオススメ。