今回は新幹線の中でモバイルWi-Fiは使用できるのか?を確認するため、東海道新幹線で実際にWiMAX端末を使用してみました。
通信速度の測定結果も公開していますので、どうぞ参考にしてみてください。
新幹線の中でモバイルWi-Fiは(ほぼ)問題なく使えます!
新幹線では長時間移動になるので、インターネットを利用して時間を潰す方が多いですよね?
普段あまりネットを利用しない方でさえ、新幹線の乗車中はネット使用する機会が多くなると思います。
そのようなシーンで、電波が悪くネットが使えないと「あの会社は電波が悪くて使えない!」という評判が瞬く間に広まり、最悪の場合は他社に乗り換えられてしまいます。
通信会社各社は、このような事態にならないためにも新幹線の路線カバーにはかなり力を注いでいます。
トンネル内では使えなくなる事もある
新幹線のトンネル内では、基地局からの電波が届かずに、ネットが使えなくなる場所も一部存在します。
比較的長めのトンネルでは、トンネル内走行中でもネットが使えるように、中継アンテナを一定の間隔で設置する事がありますが、全てのトンネルに設置することはコスト面などの理由から現実的ではありません。
短めのトンネルでは、出入り口付近からトンネル内部に向けて電波を発射しているケースもあります。
また、トンネル内に基地局を作るには特別な工事許可が必要なため、JMCIA(移動通信基盤整備協会)という組織が工事の統制を取っています。
ドコモやソフトバンクなど複数の移動体通信キャリアでタイミングを合わせて、一度にまとめて工事を進めています。
こうして作られる基地局を通称「協会局」と言います。
新幹線車内のフリーWi-Fiもモバイル通信網を利用している
新幹線車内ではフリーWi-Fi(公衆無線LANサービス)が提供されていますが、スマホやモバイルWi-Fiと同じモバイル通信網を使用しています。
以前の車内フリーWi-Fiには、線路に沿って敷設した「LCX」と呼ばれる特殊な同軸ケーブルから出る電波を使用して通信をしていました。
現在は、WiMAX回線やau回線など通信キャリアのモバイル通信網をバックホールに使用した方が伝送効率が良いため、新幹線内のフリーWi-Fiもスマホの通信経路と同じように基地局からの電波を使用しています。
なお、テザリングも同様です。
高速移動中の新幹線内でネットが使えるのはなぜ?
新幹線でネットが使える理由
- 線路沿線に通信キャリアの基地局がある
- 使う基地局をリレーのように切り替えながら使用している
- トンネル走行中は、内部や出入り口付近に設置されたアンテナを使用している
新幹線が走る線路近傍には基地局が作られていて、アンテナのビーム方向は新幹線の車内で使用できるように照準が合わせてあります。
一つの基地局で、ある程度広範囲をカバーできるような設計になっているため、およそ数km程度の間隔で基地局が設置されています。
端末は高速で移動するため、使用する基地局を都度リレーのように走りながら切り替えています。
この切り替え動作のことを「ハンドオーバー」と言い、端末のバッテリーの消費は通常利用時よりも激しくなる事が多いです。
前述しましたが、トンネル走行中でもネットが使える場合は、トンネル内部や出入り口付近に作られたアンテナを使用して通信をしています。
参考電車内でもモバイルWiFiは通信可能!移動中でも切れない秘密とは?
【検証結果】京都〜東京間でモバイルWi-Fi(WiMAX)を使用
通信速度などの測定結果をシェアします。
測定メモ
利用新幹線:東海道新幹線 N700A
測定区間:京都駅〜東京駅
スマートフォン:iPhone 12
プロバイダー:Broad WiMAX
機種:Galaxy 5G Mobile Wi-Fi
通信モード:スタンダードモード
Wi-Fi周波数:2.4GHz
測定日:2022年7月30日(土)
天候:晴れ
測定アプリ:SPEEDTEST
窓側の座席の方が少しだけ電波が良いかもしれません。
京都〜名古屋の通信速度
測定回数 | 下り Mbps |
上り Mbps |
Ping ms |
1回目 | 5.95 | 3.93 | 94 |
2回目 | 2.27 | 2.54 | 101 |
3回目 | 2.97 | 7.04 | 93 |
4回目 | 16.4 | 3.85 | 79 |
5回目 | 33.3 | 2.57 | 114 |
平均値 | 12.18 | 3.99 | 96.2 |
名古屋〜新横浜の通信速度
測定回数 | 下り Mbps |
上り Mbps |
Ping ms |
1回目 | 17.7 | 1.38 | 76 |
2回目 | 4.27 | 2.87 | 175 |
3回目 | 1.70 | 0.89 | 80 |
4回目 | 3.46 | 2.15 | 84 |
5回目 | 24.5 | 4.91 | 79 |
平均値 | 10.33 | 2.44 | 98.8 |
新横浜〜品川の通信速度
測定回数 | 下り Mbps |
上り Mbps |
Ping ms |
1回目 | 7.74 | 8.84 | 71 |
2回目 | 10.6 | 12.0 | 41 |
3回目 | 23.0 | 1.90 | 53 |
4回目 | 20.6 | 3.03 | 54 |
5回目 | 21.4 | 16.2 | 42 |
平均値 | 16.67 | 29.99 | 52.2 |
品川〜東京の通信速度
測定回数 | 下り Mbps |
上り Mbps |
Ping ms |
1回目 | 82.3 | 14.7 | 33 |
2回目 | 72.2 | 21.9 | 30 |
3回目 | 50.2 | 17.0 | 54 |
4回目 | 64.0 | 13.5 | 53 |
5回目 | 49.3 | 7.64 | 52 |
平均値 | 63.6 | 14.95 | 44.4 |
動画視聴などは問題なく利用できるレベルです。
WiMAXは標準でau回線も利用可能
現在のWiMAX+5Gプラン(2021年提供開始)では、従来のWiMAX回線に加え、au4G・au5G回線も使用しています。
au回線が利用できる場所では、ほぼ利用可能になっています。
逆に、au基地局が近くにない場合でも、WiMAX基地局が近くにあれば使用できる場合もあります。
さらに、WiMAXには使用できるエリアを広げるためのオプション通信モードが搭載されています。
使用できる周波数が増える通信モードで、主に都市部以外で電波状況が良く無い時に使用すると、通信品質が改善する事が多いです。
特別な申し込みは必要なく、端末側の操作だけで使用できます。
- プラスエリアモード
- 料金:1,100円(利用月のみ課金)
- データ容量:15GB分 / 月
JRが提供しているフリーWi-Fiもあります
新幹線内では、一部の車両でフリーWi-Fiが利用できます。
SSIDは「Shinkansen Free WiFi」で、JR西日本・東海・東日本共通となっています。
N700Sの東京~新大阪~博多間では、ビジネス向けのフリーWi-Fiが提供されていて、SSIDは「S_Wi-Fi_For_Biz」です。
利用には、メールアドレスか各種SNSアカウントでのユーザー登録が必要です。
なお、フリーWi-Fiは利便性を高めるため、暗号化されていない通信を使用している事がほとんどです。
ビジネス上における秘匿性の高い情報や、個人情報などが含まれるデータの送受信は行わないようにご注意ください。
Shinkansen Free WiFi
JR西日本・東海・東日本のWi-Fiステッカーがある新幹線で利用できます。
SSIDは「Shinkansen Free WiFi」です。
Shinkansen Free WiFi
- JRのWi-Fiステッカーがある車両で利用可能
- 誰でも無料で利用可能
- 1回30分、1日に何度でも利用可能
S_Wi-Fi_For_Biz
「S Wi-Fi」のステッカーが貼られている車両(N700Sの7・8号車)では、接続時間無制限のフリーWi-Fiが利用できます。
SSIDは「S_Wi-Fi_For_Biz」です。
S_Wi-Fi_For_Biz
- N700S車両の7・8号車(東京~新大阪~博多間)で利用可能
- 誰でも無料で利用可能
- 1日に何度でも利用可能
まとめ
新幹線の中ではフリーWi-Fiも使えますが、仕事で頻繁に使用する方は、セキュリティ面や通信速度の観点からも自分のモバイルWi-Fiがあると良いですね。
WiMAX端末は、auとWiMAXの2つの基地局が使用でき、快適にネット接続できるので、おすすめです。
まとめ
- 新幹線の中でモバイルWi-Fiは、ほぼ問題なく使える
- トンネル内では使えなくなる事もある
- 線路沿線に通信キャリアの基地局がある
- 使う基地局をリレーのように切り替えながら使用している
- トンネル走行中は、内部や出入り口付近に設置されたアンテナを使用している