モバイル回線の知識

モバイルWiFiの接続台数は何台まで?通信品質に影響は出るのか?

モバイルWiFiの接続台数は何台まで?通信品質に影響は出るのか?

モバイルWi-Fiには接続できる台数が決まっていて、使い方にもよりますが基本的には接続台数が多くなる程、速度も低下します。

現行のモバイルWi-Fiの最大接続台数を比較し、接続台数を増やしていくと通信品質がどう変化するのかを検証してみました。

トミー
トミー
速度が遅くなる理屈も解説していますので、参考にしてみてくださいね
トミー

この記事の著者:トミー(ネットワーク・移動体通信エンジニア)

通信業界20年目、現役の移動体通信技術者です。
これまでに3Gの周波数再編や4G LTEの立ち上げ、災害で使用できなくなったネットワークの復旧対応、東京オリンピック・パラリンピック競技会場のネットワーク構築計画推進、BWAのエリア構築などを行い、北海道から沖縄まで日本全国のモバイル通信を陰で支えてきました。現在は5Gのエリア構築に深く携わっています。 » 著者プロフィール詳細

モバイルWi-Fi現行機種の最大接続台数を比較

モバイルWi-Fi現行機種の最大接続台数を比較

トミー
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現行のモバイルタイプルーターでは、16台の機種が多く、30台接続できる機種が最大です。

WiMAX、Y!mobile、楽天モバイル、クラウドSIMなどで使われる端末の同時接続可能台数を比較してみました。

WiMAX用端末

機種名 同時接続可能数
Speed Wi-Fi 5G X11 16台
Galaxy 5G Mobile Wi-Fi(SCR01) 10台
Speed Wi-Fi NEXT WX06 16台
Speed Wi-Fi NEXT W06 16台
Speed Wi-Fi NEXT W05 10台
Speed Wi-Fi NEXT WX05 10台
Speed Wi-Fi NEXT WX04 10台
Speed Wi-Fi NEXT W04 10台
Speed Wi-Fi NEXT WX03 10台

Y!mobile用端末

機種名 同時接続可能数
Pocket WiFi 5G A102ZT 30台
Pocket WiFi 803ZT 16台
Pocket WiFi 801HW 16台
Pocket WiFi 701UC 5台
Pocket WiFi 601ZT 10台
Pocket WiFi 603HW 14台
Pocket WiFi 506HW 10台

楽天モバイル用端末

機種名 同時接続可能数
WiFi Pocket 2C 10台
WiFi Pocket 2B 10台
WiFi Pocket R310 10台

その他の端末

機種名 取扱い事業者 同時接続
可能台数
U3 Mugen WiFi
EX WiFi
どこよりもWi-Fi
ギガWi-Fi など
10台
U2/U2s/D1 どんなときもWiFi
など
5台
+F FS030W NEXTmobile
ギガゴリWiFi
など
15台

ホームタイプの方が接続台数は多い

IoTの普及に伴い、家庭内でネットに繋がるデバイスも徐々に増えてきました。

そのため、外に持ち運んで使用する事が前提のモバイルタイプのルーターよりも、宅内据置型のホームタイプルーターの接続数の方が多く設計されています。

Speed Wi-Fi HOME 5G L12

Speed Wi-Fi HOME 5G L12

画像出典:UQコミュニケーションズ

Airターミナル5

Airターミナル5

画像出典:SoftBank

機種名 通信キャリア 同時接続
可能台数
Rakuten Turbo 楽天モバイル 128台
docomo home 5G ドコモ 65台
Speed Wi-Fi HOME 5G L12 WiMAX 40台
Airターミナル5 ソフトバンク 128台
WiMAX HOME 02 WiMAX 21台
Speed Wi-Fi HOME L01/L01s WiMAX 42台
Speed Wi-Fi HOME L02 WiMAX 40台
WiMAX HOME 01 WiMAX 22台
Airターミナル2〜4 ソフトバンク 64台
Airターミナル ソフトバンク 32台

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【検証】接続台数が多いと通信品質への影響は?

接続台数が多いと通信品質への影響は?

WiMAXの接続台数による通信品質の変化を実験してみましたので、記録としてシェアしたいと思います。

結論は冒頭に述べましたが、接続台数が多いと通信速度はやはり遅くなりました。

1台のスマホを測定用にして、この他にスマホ2台とPC2台を用意し、端末側ではYouTubeのライブ配信ニュースを視聴しながら測定しました。

接続台数を1台ずつ増やして測定してみましたのでスピードの変化をご覧ください。

接続台数 下り平均
(Mbps)
上り平均
(Mbps)
Ping平均
(ms)
1台 27.16 3.64 34
2台 14.83 3.52 39
3台 20.66 2.60 40
4台 17.52 2.87 43
5台 13.18 2.88 46
トミー
トミー
波はありますが接続台数が増えるにつれ通信速度は低下傾向、Ping値は上昇傾向にありました。

SPEEDTEST画面キャプチャ

測定メモ

回線:ブロードワイマックス
モード:ハイスピード
周波数:5GHz
測定日:2019年9月23日(土)
計測時間:13:39〜14:07
天候:曇り
機種:Speed W-Fi NEXT W05
最大接続台数:10
測定アプリ:SPEEDTEST

トミー
トミー
変化を感じ易くするため、手元にあるWiMAX端末の中で最大接続台数の少ない機種を使ってみました。

接続台数1(スマホ1台)

SPEEDTEST画面キャプチャ

下り
(Mbps)
上り
(Mbps)
Ping
(ms)
1回目 30.5 4.56 30
2回目 23.5 3.90 33
3回目 38.8 3.99 32
4回目 22.8 2.78 36
5回目 20.2 3.00 38
平均値 27.16 3.64 34

接続台数2(スマホ1台+PC1台)

SPEEDTEST画面キャプチャ

下り
(Mbps)
上り
(Mbps)
Ping
(ms)
1回目 14.6 3.72 39
2回目 13.9 3.21 38
3回目 18.0 3.94 38
4回目 5.08 2.54 32
5回目 22.6 4.19 48
平均値 14.83 3.52 39

接続台数3(スマホ2台+PC1台)

SPEEDTEST画面キャプチャ

下り
(Mbps)
上り
(Mbps)
Ping
(ms)
1回目 19.0 3.00 30
2回目 17.1 2.85 47
3回目 16.6 2.32 37
4回目 21.8 2.20 51
5回目 28.8 2.64 36
平均値 20.66 2.60 40

接続台数4(スマホ2台+PC2台)

SPEEDTEST画面キャプチャ

下り
(Mbps)
上り
(Mbps)
Ping
(ms)
1回目 18.5 1.26 45
2回目 11.1 2.38 35
3回目 20.2 2.66 29
4回目 8.71 4.46 36
5回目 29.1 3.61 68
平均値 17.52 2.87 43

接続台数5(スマホ3台+PC2台)

SPEEDTEST画面キャプチャ

下り
(Mbps)
上り
(Mbps)
Ping
(ms)
1回目 14.8 3.10 40
2回目 10.5 3.07 46
3回目 11.3 2.73 50
4回目 14.6 2.57 45
5回目 14.7 2.95 48
平均値 13.18 2.88 46

同時接続数が多いと速度が遅くなる仕組み

同時接続数が多いと速度が遅くなる仕組み

モバイルルーターはデータを転送できる回線速度(転送速度)が予め決まっていて、基地局〜ルーターの最大速度の中でやりくりして通信する事になります。

接続台数が多くなれば、その分回線使用率も増え1台あたりの速度も遅くなるという理屈です。

例えば下り最大1Gbpsのルーターで、最大接続数の10台を同時利用したとすると、単純計算で1台あたりの最大通信速度は1/10の100Mbpsです。

さらに発表されている最大通信速度は、理論値で基地局周辺のユーザーでこの最大通信速度を分け合って利用します。

そのため、この最大通信速度が出る事はありません。

ネット閲覧など通常のインターネット利用では、アプリや映画など容量の多いファイルのダウンロード・アップロードを除いて、常時データ転送の通信をしている訳ではなく、断片的にダウンロードとアップロードのリクエストをサーバーに要求しています。

ですので、接続台数が多いからと言って即座に通信品質が悪くなるという訳ではなく、どれだけ回線を利用しているかによります。

1Gbps = 1秒間に1G(ギガビット)のデータ量を転送できるという意味です。

bpsとは、Bits Per Secondの略で1秒間に転送できるデータ量の単位です。

トミー
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ちなみにルーターの最大接続数を超えた場合、追加の接続機器は接続できなくなりますよ。

通信容量にも注意が必要

通信容量にも注意が必要

接続台数が多くなれば、その分データ消費量も増える事になります。

月に100GBなどの契約プランで利用している場合には、データ消費量もある程度想定して接続台数を管理する必要があります。

意図せずPCやスマホなどアプリの自動更新が走ってしまい、思いがけずデータ消費してしまったという事もありますので、なるべく使用しない機器とのWi-Fi接続は切るようにすると良いでしょう。

今何台の機器がルーターに接続されているかは、液晶付き機種の場合は画面上で確認できる場合が多いです。

Speed W-Fi NEXT W05の表示画面

Speed W-Fi NEXT W05の表示画面

トミー
トミー
データ容量が決められているプランの場合は、速度制限に注意ですね。

まとめ

まとめ

トミー
トミー
最後にこの記事の要点をまとめてみましょう

まとめ

  • モバイルWi-Fiは機種によって、接続できる機器の台数が予め決まっている。
  • 使い方にもよるが、接続台数が多くなる程、通信速度は低下しPing値は上昇する傾向にあり。
  • モバイルタイプのルーターよりも、宅内据置型のホームタイプルーターの方が同時接続台数が多く設計されている。
  • 接続台数が多くなれば、その分データ消費量も増える。
  • データ容量の上限があるプランで利用している場合は、容量超過による速度制限に注意。

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  • この記事を書いた人

トミー

通信業界20年目。現役バリバリの移動体通信エンジニア・Webライターです。 モバイル通信や光回線、IPネットワークの他に、海外の通信事情などにも詳しいです。 当サイトの記事を全て執筆、作図や動画編集も担当しています。 このサイトでは、最高のインターネット環境に出会うための、お手伝いをしたいと思っています。
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