少し難しく聞こえますが、違いはとてもシンプルです。
誰にでも分かるように簡単に解説しますね。
5GのSA・NSAを分かりやすく解説
SAとNSAの違い
- NSA = Non Stand Alone(ノン・スタンドアローン)5Gネットワークとして独立していない
- SA = Stand Alone(スタンドアローン)5Gネットワークとして独立している
SA(スタンドアローン)は、独立したという意味を持っていますが、5G専用の独立したネットワーク構成のことをいいます。
一方、NSA(ノン・スタンドアローン)は、従来の4Gとネットワーク設備を共有したネットワーク構成のことです。
現在NSA方式の5Gでサービス提供している通信事業者も、順次SA方式の5Gに移行していきます。
NSA(ノン・スタンド・アローン)は4Gと設備を共用
NSA方式の5Gは、制御信号とデータ信号が分離しています。(現在主流の5Gはこちらのタイプです)
4G基地局側では制御信号のやりとりを行い、5G基地局側ではデータ信号のやりとりを行います。
各通信事業者ネットワークセンター内のコア設備は、4Gと共用のEPCという設備に流れるようになっています。
SA(スタンド・アローン)は5Gだけの専用設備を使用
SA方式の5Gでは、4Gとの設備共用はせずに、5Gとして独立した専用の設備を使用します。
4G基地局との制御信号の連携がないため、NSAと比べて低遅延である事が特徴です。
また、ネットワークを仮想的に区切るスライシング技術を用いて、5Gとしてのメリットを最大限に活かすことができます。
5GのSAで使えるネットワークスライシングとは?
ネットワークスライシングの目的や具体的な活用方法について解説します。
ネットワークを用途に分けて使える
分かりやすく道路で例えてみます。
NSA方式の5Gでは、一般道路と高速道路の区別がなく、全員が同じ道路を走っている状態と考えてください。
道路には、原付で走っている人もいたり、中には、フェラーリやランボルギーニのようなスーパーカーで走っている人もいます。
大容量の荷物を積んだ大型トラックのような車も走っています。
料金は安くて良いので一般道でゆっくり目的地までドライブを楽しみたい人や、一刻も速く目的地に辿りつきたい人、物流関係の仕事で大荷物を目的地に一度で届けたい人もいますが、道は一つしかないので仕方がありません。
例えば、渋滞などの影響を最小限に抑えたい場合は、以下のような分け方があると思います。
- 高速道路:高速走行が可能な道路
- 大型車専用道路:車幅は広く速度も出せる道路
- 一般道:一般的な速度で走行できる道路
上記図のように「ネットワークスライシング」は、ネットワークをそれぞれの用途に応じて仮想的にスライスする(区切る)ことができるので、ユーザーはそれぞれNSAではできなかった最適化された通信を利用できるようになります。
では、具体的にはどのような用途で分ける事ができるのか、活用事例を次の項目で挙げます。
ネットワークを区切る事で用途に応じた最適な通信ができる
SA方式の通信では例えば、以下のような用途でネットワークを分離させることができます。
- 高速・大容量なスライス(eMBB):映像関係のデータ転送など
- 多数のデバイス接続が必要なスライス(mMTC・mIoT):センサーなど
- 低遅延が必要なスライス(URLLC):ロボットの遠隔操作、ARなど
前述した通り、NSAでは全ての用途が同じ帯域を使用していたのに対して、SAのネットワークスライシングでは、この区分けを用途(アプリケーション)によって動的に区切ります。
その用途だけに特化した帯域を使用するため、需要と供給がマッチした、その時々で最も効率の良い通信が行えます。
実際に私たちはどのように使うことができるの?
一部通信キャリアのサービス提供状況を紹介します。
ソフトバンクエアーのエアターミナル5はSAをいち早く採用
ソフトバンクエアーのエアターミナル5は、SA方式の5G商用化に日本で最も早く対応しました。
ホームルーターなどの製品は、光回線の代替手段として使用するケースも多いため、可能な限り高速で大容量、低遅延である事が望ましいです。
そのような場合に、スマホユーザーとトラフィックを分割すれば、双方のユーザーにメリットがある最適化された通信を提供することも可能です。
スタンドアローンのエリアは一部限定となっていますので、詳しくはソフトバンクエアーの公式サイトでご確認ください。
KDDIグループは5G SA対応のWiMAXルーターを2023年にリリース
WiMAXでは5G SA対応モデルのルーターを2023年6月にリリースしました。
KDDIグループの5G SA対応端末はこちらで確認できます。
Speed Wi-Fi 5G X12 | Speed Wi-Fi HOME 5G L13 | |
端末外観 | ||
製造元 | NECプラットフォームズ | ZTE Corporation |
対応通信規格(WAN) | WiMAX2+/4G/5G | WiMAX2+/4G/5G |
最大通信速度 | 下り最大:3.9Gbps 上り最大:183Mbps | 下り最大:4.2Gbps 上り最大:286Mbps |
連続待受時間 | 約420時間(初期設定時) | ー |
最大同時接続台数 | Wi−Fi:16台 / USB:1台 | 有線LAN:2台 無線LAN:32台 |
対応Wi-Fi通信規格 | IEEE802.11a/n/ac(5GHz) IEEE802.11b/g/n(2.4GHz) | IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax (2.4GHz/5GHz) |
バッテリー容量 | 4,000mAh | ー |
ドコモは2022年〜提供開始(オプション料金制)
NTTドコモは2022年からSAのサービスを一部地域で提供開始しています。
利用には対応端末が必要で、550円のオプション制となっています。
対応エリアと対応端末はNTTドコモの公式サイトから確認できます。
申し込み | 必要 |
月額使用料 | 550円(税込) 無料キャンペーン実施中(終了日未定) |
光回線とモバイル回線のハイブリッド通信も可能になる?
固定回線(光回線)と5Gモバイル回線の融合も進められています。
5G FMC(5G Fixed-Mobile Convergence)といい、5G用のコア設備に固定アクセス網を収容するネットワーク構成のことです。
日本でどこまで普及するか分かりませんが、一本の契約で光回線と5Gモバイル回線を両方使える、ハイブリッド通信システムが登場する日が遠くないかもしれません。
まとめ:SAは5Gの本領を発揮するために必要不可欠
まとめ
- SA = Stand Alone(スタンドアローン)は、5Gネットワークとして独立している
- NSA = Non Stand Alone(ノン・スタンドアローン)は、5Gネットワークとして独立していない
- スタンドアローン方式の方が、低遅延・同時多接続通信が可能
- スタンドアローン方式では、用途によってネットワークを仮想的に分離することができる(スライシング)
- スタンドアローン方式の5Gを使うには、利用可能エリアで、対応端末を使用する必要がある(通信事業者によってはオプションの場合有り)